神葬祭って?
わが国固有の葬祭です。
そして伝統的な葬祭です
神葬祭と聞いてもピンとこない方がほとんどだと思います。でも、最近、「神社方式での葬式について訊きたい」と尋ねられることが多くあります。神葬祭とは、たんてきに申せば、神道による葬式です。
お隣の宮崎、鹿児島では主流の葬送儀式です。熊本でもじわじわと増えつつあります。浮島神社でもご希望で、改宗される方のお手伝いをさせていただいたこともあります。
時代変移
江戸時代、すべての人民は、お寺に籍を置かなければなりませんでした。徳川幕府が決めた、人口把握と税金を徴収するシステムのためです。強制力を持って、葬式は、所属するお寺で執り行うことになっていたのです。
神主ですら、日本古来の神葬祭では、できませんでした。後に、当主と長男は、日本古来の神葬祭でできるよう緩和されましたが、他の神主、家族は、お坊さんがしておりました。 とても、無念だったと思います。
明治に入り
「神職之者 家内ニ到ル迄 以後 神葬祭ニ相改可申事」
という改正令により、ようやく、神主とその家族は、本来の姿に戻ることができました。
現代
今、当たり前と思っていた【お葬式】について多くの方が真剣に考えておられます。わたくしも、その一人です。自然葬、家族葬、お別れ会いろいろ考えられております。けっこうなことだと思っております。
送られる側は、従来の葬式への不信感、子に負担させる経済的支出等の観点から、「葬式はしないでいい」という希望が多々あると耳にいたします。
ただ、送る側の考えもあります。「できることはした」という心の安ど感はいると思います。
なぜなら、人生最後のけじめですから。
日の本に生まれ出でにし益人は神より出でて神に入るなり
他の国ではみられない日本の葬式です。
神道では、神様から頂いた命・魂は、神様に帰るということを意味します。もっといえば、極楽も地獄もないのです。ひたすら、神のもとに帰るということです。
日本の葬式を「神葬祭」といいます。
本来、仏教は葬式を重視しておりませんでした。江戸時代に入り、徳川幕府の寺請け制度という政策のため、仏教式の葬式が強制的に行われるようになりました。江戸後期から、王政復興などの思想の広がりにより、幕府の考え方も緩やかになり、「神葬祭」も、わずかだが行われるようになりました。
維新後、士族を中心に広まりました。
仏壇・位牌は?
代わるものがあります。というより、そもそも仏教には、葬式がありません。日本に入ってきて神道葬祭をまねしてできたものだからです。
仏壇は御霊舎(みたまや)というもの。位牌は霊璽(れいじ)というものにかわります。
御霊舎は白木でできている質素なもので、霊璽も同様で1万円程度からあります。心配されている戒名代は、かかりません。
新しい波
費用の問題
一般的に葬儀には、不透明な部分が多々あります。また、使用するものは、普段目にすることなない品々がほとんどで、適正価格なのかどうかわかりません。さらに、精神的に動揺している中、時間的余裕のない中、業者の提示する「皆さんこうしてます」の誘導につられている感があると危惧しております。
イオンではこれを公開することで新しい市場の開拓に乗り出しました。電話1本で、パンフレットを送ってくれます。私ももらいました。イオンの葬式の明細の公開に、仏教界は批判的です。
べニアに薄い桐を張った棺桶が5万円からあるそうです。無印良品から組み立て式のキットが出れば、とわたくしは希望しております。
さらに、戒名という出費もあります。神葬祭にはありません。亡くなった方は、すべて、神様になるのです。魂は、神からいただき、神に帰るのです。戒名に代わるものは、おくり名です。
直送は慎重に
葬儀は亡くなった人のものかもしれませんが、残された家族の儀式でもあります。心の区切りをつけるための重要な祭典なのです。テレビ、雑誌に影響を受けることなく真剣にお考えください。